イノベーション100選
アンケート投票トップ10(年代順)
-
体内におけるがん等の診断及び治療において、現在不可欠な医療器具が内視鏡である。オリンパス光学工業(現オリンパス)は、戦後間もない1940年代後半から東京大学病院の要請を受けて胃カメラの開発に成功し、その後ファイバースコープ付胃カメラ、そして現代のカプセル内視鏡に至るまでこの分野...体内におけるがん等の診断及び治療において、現在不可欠な医療器具が内視鏡である。オリンパス光学工業(現オリンパス)は、戦後間もない1940年代後半から東京大学病院の要請を受けて胃カメラの開発に成功し、その後ファイバースコープ付胃カメラ、そして現代のカプセル内視鏡に至るまでこの分野での技術開発に取り組んできた。現在、同社は内視鏡分野における世界市場においてシェア70%を占めている。
この開発の歴史は、医師との密接な協力と連携によるところが大きく、患者負担の軽減によって医療現場の光景を一変させるものとなっている。さらに、患部の早期発見を可能とし、予防医学の発展にも大きく貢献するところとなった。
1954年、全国発明表彰「朝日新聞発明賞」(杉浦睦夫 外)、2011年、同「内閣総理大臣発明賞」(中坪寿雄 外)等受賞。
-
1958年に発売された「チキンラーメン」は、日清食品の創業者である安藤百福が自宅の庭に建てたわずか10平方メートル足らずの研究小屋から生み出した商品である。インスタントラーメンという新しい市場を創出し、そのたゆまぬ熱意とベンチャー精神によって、インスタントラーメンは今や世界中で...1958年に発売された「チキンラーメン」は、日清食品の創業者である安藤百福が自宅の庭に建てたわずか10平方メートル足らずの研究小屋から生み出した商品である。インスタントラーメンという新しい市場を創出し、そのたゆまぬ熱意とベンチャー精神によって、インスタントラーメンは今や世界中で最もポピュラーな即席食品の一つとなり、2013年には世界全体で約1055億食が消費されている。
1971年には、カップヌードルも同氏によって開発・発売され、国際市場に飛躍的に広まっていった。
同氏の死去に際し、米国ニューヨークタイムズ紙は、2007年1月27日の社説で、「インスタントラーメンの発明により、安藤氏は人類の進歩の殿堂において、永遠の居場所を占めた」と讃えている。
-
1963年、漫画『鉄腕アトム』の原作者手塚治虫は、彼が設立した虫プロダクションで『鉄腕アトム』をアニメ化し、日本で最初の30分枠のテレビ放映に取り組んだ。この際、それまでのアニメーションがフルモーションで製作されていたのに対し、制作コストを引き下げるために、コマ数を減らし、止め...1963年、漫画『鉄腕アトム』の原作者手塚治虫は、彼が設立した虫プロダクションで『鉄腕アトム』をアニメ化し、日本で最初の30分枠のテレビ放映に取り組んだ。この際、それまでのアニメーションがフルモーションで製作されていたのに対し、制作コストを引き下げるために、コマ数を減らし、止め絵を採用するなどの工夫をこらし、また、制作費の捻出のため、キャラクターグッズの販売など数々の版権ビジネスも展開した。
テレビ放映は大成功を収め、低コストのアニメは、国内だけでなく、海外でも広く受け入られ、海外に日本文化を普及させるさきがけとなった。この成功は、後の劇場用のアニメ、ゲームソフトの制作にも大きな影響を与えるところとなった。
アニメ及びマンガは、いわゆる「クール・ジャパン」を代表するものとなり、「Manga」、「Anime」は国際語となった。その中で現在は新たなビジネスモデルが追及されている。
-
新幹線は、日本国有鉄道が1964年10月1日に営業運転を開始した世界で初の高速都市間鉄道システムである。
高密度・大量輸送性、正確な運行スケジュール、高い安全性は鉄道の利便性を一段と高め、それまでのビジネスや旅行の移動の概念を変え、世界に高速鉄道時代をもたらすこ...新幹線は、日本国有鉄道が1964年10月1日に営業運転を開始した世界で初の高速都市間鉄道システムである。
高密度・大量輸送性、正確な運行スケジュール、高い安全性は鉄道の利便性を一段と高め、それまでのビジネスや旅行の移動の概念を変え、世界に高速鉄道時代をもたらすこととなった。東海道からスタートしたルートは、現在全国に展開されつつあり、我が国の経済活動を支える大動脈となった。
新幹線の成功は、鉄道による都市間高速輸送システムの有効性を、国内だけでなく世界的にも再評価させるものとなり、フランスやドイツをはじめとする高速鉄道網の実現を促すものとなった。
1999年、「東海道新幹線」が「IEEEマイルストーン」に選定された。
-
トヨタ生産方式は、トヨタ自動車が「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」を柱として、戦前から築き上げてきた生産方式である。前者は、機械自身に異常の有無を把握する機能を組み込むことにより後工程への不良品の供給を回避するものであり、後者は徹底したムダの排除による、リードタイムの短縮化...トヨタ生産方式は、トヨタ自動車が「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」を柱として、戦前から築き上げてきた生産方式である。前者は、機械自身に異常の有無を把握する機能を組み込むことにより後工程への不良品の供給を回避するものであり、後者は徹底したムダの排除による、リードタイムの短縮化とともに生産効率の改善を実現しようとする考え方である。
トヨタ生産方式は、これを動かす「人」を育成することにより初めて実現するものであり、これまでの常識にとらわれない意識改革が重要と考えられていた。
1974年の石油危機以後の不況期を乗り切ったトヨタの躍進とともに世界的に注目されるものとなり、社内で使用されてきた「カンバン方式」や「カイゼン」という言葉は国際的にも普及した。現在では、製造業にとどまらず様々な産業や一部行政機構にまでその思想は導入されるところとなっている。
-
「ウォークマン®TPS-l2」は、1979年にソニーによって開発・発売されたステレオカセットプレイヤーである。世代を問わず、あらゆる場所でステレオ音楽を楽しむライフスタイルを確立した。
小型化の追求のために数々の工夫がこらされ、斬新なデザインとともに新た...「ウォークマン®TPS-l2」は、1979年にソニーによって開発・発売されたステレオカセットプレイヤーである。世代を問わず、あらゆる場所でステレオ音楽を楽しむライフスタイルを確立した。
小型化の追求のために数々の工夫がこらされ、斬新なデザインとともに新たな技術が開発されてきた。例えば、ステレオ・ミニジャックや小型モーター、そしてガム型電池など、この製品によって開発された部品は、他の多くのオーディオ製品・ポータブル製品にも採用され、その小型化を可能とした。
「ウォークマン®」の名称は世界的に普及し、『広辞苑』や『オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー』などの辞書にも記されるに至っている。
-
ウォシュレット®は、東陶機器(現TOTO)が1980年に発売開始した温水洗浄便座である。開発に当たっては、座り心地、洗浄角度、温度、水勢などに関する多くのデータが収集・解析され、最適な洗浄感の達成が追及された。
また、発売から二年後、「おしりだって洗って...ウォシュレット®は、東陶機器(現TOTO)が1980年に発売開始した温水洗浄便座である。開発に当たっては、座り心地、洗浄角度、温度、水勢などに関する多くのデータが収集・解析され、最適な洗浄感の達成が追及された。
また、発売から二年後、「おしりだって洗ってほしい」というコピーによるユニークなCMなど、独自のマーケティング手法との相乗効果もあり、知名度を一気に上げることとなった。
ウォシュレット®の登場は、衛生面での格段の清潔性向上にとどまらず、トイレに関するマイナスのイメージを、快適感を与える空間へと変化させた。
発売開始から25年で、温水洗浄便座の販売台数は2000万台を超えたとされる。
-
我が国の家庭用ゲーム機のハードウエア・ソフトウエア総出荷額は、2007年、有料携帯電話ゲームコンテンツ等を加えると3兆円を超えるものとなった。
1983年に任天堂株式会社が発売した「ファミリーコンピュータ」は、ゲーム機と言えばゲームセンターに置かれた業務用が中心...我が国の家庭用ゲーム機のハードウエア・ソフトウエア総出荷額は、2007年、有料携帯電話ゲームコンテンツ等を加えると3兆円を超えるものとなった。
1983年に任天堂株式会社が発売した「ファミリーコンピュータ」は、ゲーム機と言えばゲームセンターに置かれた業務用が中心であったものを、家庭のテレビ画面で楽しむことを可能にした画期的な商品であった。それまでのいわゆるアーケードゲームに劣らないグラフィック機能を有し、「スーパーマリオブラザーズ」などのソフト人気と相まって「ファミリーコンピュータ」は家庭用ゲーム機市場を席巻した。
ソニー株式会社が1994年に発売したゲーム機「プレイステーション」は、先進的3D画像処理技術を採用した画期的な家庭用ゲーム機であり、新たな3D用ソフトの人気と相まって全世界の累計出荷台数は初めて1億を超えた。
家庭用ゲーム機の普及にはハードの開発とともに優れたゲームソフトの制作による相乗効果も大きく、その人気は長いシリーズ物となって現在にまで続くものも多い。
-
発光ダイオード(LED)は、半導体に電流を流すことで、発光現象を得る電子部品である。
赤色や黄緑色のLEDは、西澤潤一らの研究により開発されていたが、青色のLEDはなかなか実用化に至らなかった。これを赤﨑勇らの研究グループや松岡隆志、中村修二らの研究活動により実...発光ダイオード(LED)は、半導体に電流を流すことで、発光現象を得る電子部品である。
赤色や黄緑色のLEDは、西澤潤一らの研究により開発されていたが、青色のLEDはなかなか実用化に至らなかった。これを赤﨑勇らの研究グループや松岡隆志、中村修二らの研究活動により実用化に至ったものである。
青色LEDとそれに伴う白色LEDの実用化によって、液晶ディスプレイのバックライトや、スキャナーの光源、さらに街路灯、屋内照明などもLEDに置き換えられつつある。白色LEDの寿命は4万時間以上、また、消費電力でも既存の光源に比し10%から40%程度小さく、二酸化炭素排出の削減にも貢献している。
赤﨑勇は、2011年「IEEEエジソンメダル」、2014年「恩賜賞・日本学士院賞」を受賞。中村修二は、2011年「エミー賞技術開発部門」等受賞。
-
ハイブリッド(エンジン)システムとは、内燃機関と電気モーターの二種の動力源を用いたエンジン装置のことである。
1997年、トヨタ自動車は、これを搭載したハイブリッド車を世界で初めて量産化した。気候の温暖化という全地球的課題に対応する車として世界の注目を浴び、これ...ハイブリッド(エンジン)システムとは、内燃機関と電気モーターの二種の動力源を用いたエンジン装置のことである。
1997年、トヨタ自動車は、これを搭載したハイブリッド車を世界で初めて量産化した。気候の温暖化という全地球的課題に対応する車として世界の注目を浴び、これを搭載した乗用車「プリウス」は、2013年6月時点で累計300万台の販売を記録した。
また、トヨタに続いて本田技研工業も独自のハイブリッドシステム「ホンダIMA(インテグレッド・モーター・アシスト)システム」を搭載した「インサイト」の開発でハイブリッド車市場に参入し、この2社によるイノベーションの推進が世界のハイブリッド車を牽引している。
2004年、全国発明表彰「経済産業大臣発明賞」(佐々木正一 外※トヨタ)等受賞。