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ウォークマン®
概要
ステレオカセットプレーヤーTPS-L2は、1979 年にソニーによって開発・発売された初代ウォークマン®である。ウォークマンの登場まで、手軽に持って歩ける小型・軽量のテープレコーダーは、モノラル音質のものに限られていた。当時名誉会長であった井深大(以下「井深」と呼ぶ)はステレオ音質の小型プレーヤーができないかを夢見ていた。
そのような状況の中で、1978年にウォークマン1号機(型名TPS-L2)の原型となる試作機の開発がソニー社内で始まった。開発は、当時ソニーが既に発売していた小型テープレコーダー「プレスマン」から録音機能を取り除き音質を向上させ、再生専用のステレオプレーヤーに改良することで進められた。さらに、当時社内で開発されていた超軽量ステレオヘッドホンの「H・AIR(ヘアー)」を採用し、価格も3万3000円という手ごろなものに設定された。発売前には社内・社外に「再生専用機なんて聞いたことがない。録音機能が付いていないと売れない」と懐疑的な声があったものの開発は進められ、最終的に図1のようなウォークマン「TPS-L2」が完成した。そして、ウォークマンは売り切れ店が続出するほどの大成功を収めた。その後世界でも成功を収めウォークマンという名称は世界的に普及し、『広辞苑』や『オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー』などの辞書にも記されるに至った。
図1 初代ウォークマン「TPS-L2」
画像提供:ソニー
技術面に関していえば、ウォークマンは小型化の追求のために数々の工夫がこらされ、新たな技術が開発されてきた。例えば、1979年発売の「TPS-L2」の開発からはステレオ・ミニジャック、1983年発売のカセットケースサイズウォークマン「WM-20」の開発では超扁平BSLモーター、そして1985年発売の「WM-101」の開発からはガム型電池などが誕生した。特に、ステレオ・ミニジャックやガム型電池は、ステレオカセットプレーヤーのみならず多くのオーディオ製品・ポータブル製品において使用されてきている。以上のようにウォークマンは世界中の人々のライフスタイル及び技術面に大きなインパクトを与えた、戦後日本における画期的なイノベーションの一つであるといえよう。