安定成長期
移動電話(自動車電話、音声符号化等)
概要
日本電信電話(以下「NTT」と呼ぶ)が1991年に発売した携帯電話機「ムーバ」1は、我が国が培ってきた実装技術、二次電池技術、デザイン設計技術等を結集して開発された体積150cc、重量約270gの世界最小・最軽量の携帯電話機で、その登場はポケットに入る「ハンディな移動電話」を待望していた利用者に大きな反響をもたらした。当時、我が国における携帯電話の普及率は、スウェーデン、アメリカ、香港に比べても極めて低いものであったが、その背景には自動車電話として誕生した我が国移動電話の「つながりにくさ」や重量、更には料金制度にあるとみられていた2。NTTは1988年に新たに開発した「アナログ大容量方式」3を導入してネットワーク環境を強化していたが、携帯電話機の小型・軽量化の実現は、更なる普及を促すものとなった。1990年度末に26万件であった携帯電話契約者数は、「ムーバ」が発売された1991年度末には53万件に倍増し4、続いて行われた料金体系の改定により、「保証金」、「新規加入料」の廃止や、携帯電話機の「レンタル制」から「お買い上げ制」への移行により、利用者が一気に拡大した。同時にビジネスが中心であったその利用目的をプライベート利用へと拡大した5。
我が国の移動電話契約数は2000年度末に固定電話を上回り、それ以降もその差を広げている。2016年3月時点の移動電話の契約数は1億6000万件を超え、国民一人当たりの普及率も126.3%に達している。携帯電話は音声通話だけでなくデータ通信にも利用され、現在の生活に欠くことのできないツールとなっている6(図2「携帯電話・PHSの加入契約数の推移」参照)。
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画像提供:NTTドコモ