高度経済成長期
スーパーカブ
概要
1958年に本田技研工業(以下「ホンダ」と呼ぶ)から発売された「C100」に始まるスーパーカブ・シリーズは、世界で最もよく知られたオートバイである。50ccの小排気量ながら素晴らしい性能を発揮する上、使い勝手にも優れ、しかも低価格であった。それまでのオートバイにはなかった魅力を数多く備え、オートバイ好きはもちろん、一般庶民にも広く受け入れられ、仕事や遊びの足として大いに活用されることとなった1。
スーパーカブ・シリーズは、日本のみならず世界中で生産、販売されている。世界の累計生産台数は、1966年に500万台、1974年に1000万台、そして2008年4月末には、6000万台に達した。2013年9月末時点では、8500万台を超え世界15カ国で生産され、延べ160カ国以上において、それぞれの国に適応した仕様のスーパーカブが走っている。
スーパーカブは、発売以来半世紀以上も基本デザインを変えていない。1958年発売のモデルと2008年発売のモデルを比較すると、外観で異なるのは、ヘッドライトの位置や灯火系の大きさ程度である。フロントカバーやフロントフェンダーなどの構造部分を含めた車体のレイアウトもほとんど変更されていない2。
1970年代に一度、フルモデルチェンジが試みられたことがあったが、試行錯誤の結果、初代のスーパーカブを越えることができずに断念されたほど、完成度が高いものであった。
基本デザインを変えず、現在でも世界各国で生産され、愛用され続けているスーパーカブは、日本の戦後における代表的なイノベーションの一つといえる。
なお、2014年5月、日本において「二輪自動車」のカテゴリーでスーパーカブの立体商標が認められた。
写真1 スーパーカブC100(1958年型)
画像提供:本田技研工業