令和5年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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未来創造発明奨励賞
ナノ集光X線ミラー作製のための超精密測定法の発明(特許第5070370号)
山内 和人 | 国立大学法人大阪大学 大学院工学研究科 教授 | |
石川 哲也 | 国立研究開発法人理化学研究所 放射光科学研究センター センター長 | |
大橋 治彦 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター ビームライン技術推進室 主席研究員 | |
津村 尚史 | 株式会社ジェイテックコーポレーション 代表取締役社長 |
未来創造発明貢献賞
西尾 章治郎 | 国立大学法人大阪大学 総長 | |
五神 真 | 国立研究開発法人理化学研究所 理事長 | |
雨宮 慶幸 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター 理事長 |
集光X線をプローブとするX線顕微鏡(図1)は、ナノテクノロジーを支える顕微法として広く活用されている。キーデバイスであるX線集光ミラーの製作では、長手方向に10から数100mm領域の形状を精度±1nmで評価することが求められる。
光干渉法は十分な精度を有しているが、湾曲したミラーでは一度に計測できる領域が限られ、測定データを繋ぎ合わせる必要がある。しかし、隣接する領域の相対角度が不正確なため、繋ぎ合わせを繰り返す際の精度劣化が課題になっていた。これは、隣接する領域の測定データから、後処理によって相対角度を推定していたためである。
本発明は、同一の傾斜ステージに被験ミラーと新たに平面ミラーを配置して同時計測し、測定領域を移動する際の被験ミラーの傾斜角を平面ミラーの姿勢変化から、その場で高精度に取得する点にある(図2)。これによって繋ぎ合わせ角度の誤差を大きく低減し、所期精度でのミラー評価を可能にした。
図1 | X線顕微鏡の概念図 (入射X線に対する様々な反応を評価) |
図2 | 形状計測装置の概略図(左)と干渉縞(右) |