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発明協会の表彰事業

令和6年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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恩賜発明賞
HIVインテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルの発明(特許第4295353号)
川筋  孝
塩野義製薬株式会社 創薬研究本部 副本部長席 主席研究員
垰田 善之
塩野義製薬株式会社 創薬化学研究所 感染症化学領域 サブグループ長
大司 照彦
塩野義製薬株式会社 医薬開発本部 プロジェクトマネジメント部 部門長
Brian Alvin Johns
Brii Biosciences Chief Scientific Officer

発明実施功績賞
手代木 功
塩野義製薬株式会社 代表取締役会長兼社長CEO

 本発明は、HIV独自の酵素であるインテグラーゼを阻害することで、エイズを引き起こす HIVの増殖を抑える化合物に関するものである。
 従来のHIV治療薬を組み合わせた多剤併用療法は、エイズによる死亡率を低下させた。しかし、服薬条件が複雑であることに加えて、副作用や耐性ウイルスの出現など多くの課題を残していた。
 発明者は、2つのマグネシウムイオンを含むインテグラーゼの活性中心に対してより強く結合し、耐性変異に強い阻害剤の分子設計に取り組んだ。多くの試行錯誤の結果、三環性カルバモイルピリドンを基本構造とするリード化合物を見出し、構造の最適化の末、上記の課題を克服した化合物(ドルテグラビル)を完成させた。
 ドルテグラビルを主成分とする関連製品は、グローバルで承認され、HIV治療薬の第一選択薬として推奨されている。また、耐性ウイルスや副作用を軽減した結果、治療成功率が向上し、HIVとともに生きる人々のQOL向上に貢献している。


図1 (左)各種インテグラーゼ変異ウイルスに対するドルテグラビルの有効性
(右)HIVインテグラーゼとウイルスDNA末端の複合体に対するドルテグラビルの結合様式

図2 ドルテグラビルを主成分とする4製品


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