令和2年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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未来創造発明奨励賞
人工嗅覚に資する超高感度膜型表面応力センサの発明(特許第5649138号)
吉川 元起 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 グループリーダー | |
秋山 照伸 | NanoWorld AG Project Manager | |
Peter Vettiger | IBM Zurich Research Laboratory retiree |
未来創造発明貢献賞
橋本 和仁 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長 |
本発明「膜型表面応力センサ(Membrane-type Surface stress Sensor, MSS)」は、五感センサ最後のフロンティアである嗅覚センサの実現に向けて、「ニオイを電気信号に高効率で変換する小型センサ素子」である。
本発明では、ニオイ成分が感応膜に吸脱着する際に、センサ素子に等方的に印加される応力が、増幅された一軸性の応力として、単結晶シリコンピエゾ抵抗(特に一軸性の応力が印加されると電気抵抗が大きく変化する応力-電気抵抗変換部)が埋め込まれた細幅部分に集中的に印加されるよう構造最適化した(図1)。この構造(図2)により、従来型センサの100倍を超える高感度に加え、小型・化学的多様性・室温動作・電気的/機械的安定性・低消費電力・高速応答など、嗅覚センサに求められる各種性能が実現した。
本発明は、世界最大の嗅覚センサ産学官連携における基本要素技術として発展し、農畜産業・食品・医療・環境・安全・ロボットなど多くの分野での新産業創出への貢献が期待されている。
図1 | 本発明「MSS(膜型表面応力センサ)」と従来型(カンチレバー型)との感度比較及びMSS構造に至る最適化の過程。 | 図2 | MSSプロトタイプモジュール、MSSチップの顕微鏡写真、MSS構造の模式図及びMSSの嗅覚センサとしての動作原理。右図はMSSのロゴ。 |