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全日本学生児童発明くふう展

第83回全日本学生児童発明くふう展審査を終えて
-生き物や自然を観察して課題を解決した若い人たち-

 第83回全日本学生児童発明くふう展には、各地域の発明くふう展で優秀な成績を収めた作品を中心に合計750 点の作品が集まりました。書類審査後、第一次実物審査となる審査幹事会を行い122点と特に優れた34点を選出しました。審査委員会で第二次実物審査を行った結果、恩賜記念賞以下各賞の作品を選出しました。選出は、「作品紹介動画」と提出された申込書を、事前に各審査委員が視聴・熟読し、後日、全委員が一堂に集まり、実物に触れて確かめてから、一つ一つの賞に相応しい作品について熟議して行われました。
 恩賜記念賞には、東京都の品川区立第三日野小学校4年生・正能佳明さんの作品「光触媒パワーで世界初の害虫アリ定着予防『キラ星の砂』」が選ばれました。本作品は、ヒアリの定着を防ぐ方法として、光触媒により道しるべフェロモンの分解を利用しヒアリの繁殖を阻害するものです。光触媒を付着させたサンゴの細粒を迷路に敷き詰めてヒアリと類似するアリを歩かせて観察を繰り返した結果、迷子になる比率データから行動攪乱効果があることを確認し、光触媒付着砂によるヒアリ定着予防の可能性を示しました。
 内閣総理大臣賞には、山口県立山口松風館高等学校2年生・山根康輔さんと私立東海大学付属相模高等学校中等部3年生・嘉手納杏果さんの共同作品「小魚を巻き込まないマイクロプラスチック回収ボート」が選ばれました。海水をポンプ吸引する際にマイクロプラスチックと一緒に網に入ってしまう小魚を逃がすために、ポンプ停止期間を設け、実験で探り当てた魚が逃げ出したくなる音と光をあてる作品です。機械と生物という異なる得意分野で二人がアイデアを出し合いました。
 文部科学大臣賞の「百人一首らくらくスライダー」(小学校5年生)、経済産業大臣賞の「セルロースでできた地球のための建材 マルデモリ」(中学校1年生)、特許庁長官賞の「~大海原の守護者~オーシャンガーディアン」(小学校3年生)、WIPO賞の「コインランドリーのモヤモヤ解消Ⅱ」(小学校6年生)、そして発明協会会長賞、日本弁理士会会長賞、NHK会長賞、毎日新聞社賞、毎日小学生新聞賞、科学技術館賞と、それぞれの賞の特色に合った作品が選ばれ、さらに20点の優れた作品が奨励賞に選ばれました。
 アリ、魚、それにクモを注意深く観察して創り出した作品がありました。このように生き物そして自然に興味をもち、観測して見つけ出したことが課題解決に結びついたときに感じた面白さはずっと忘れないことでしょう。発明くふうという貴重な体験を促して下さった親御さんや学校の先生方をはじめとする関係各位に心より感謝申し上げます。
審査委員長
審査委員長 古屋一仁

東京工業大学名誉教授

本事業に関するお問合せ先

公益社団法人発明協会 青少年創造性グループ
TEL 03-3502-5434/E-mail 担当者へメールを送信する