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全日本学生児童発明くふう展

第73回全日本学生児童発明くふう展
審査を終えて

豊かな独創力を期待して

 第73回全日本学生児童発明くふう展には、各都道府県で開催されました展覧会において、優秀な成績を収めた作品を中心に762点の推薦がありました。それらの作品について審査幹事会で第1次実物審査が行われた後、審査委員会では特に優れた40点について慎重に審査をいたしました。
 今回恩賜記念賞を受賞された作品は、北海道の伊達市立伊達中学校2年生・黒澤龍之介さんの「垂直回転軸平行車輪による全方向走行システム」です。この作品は、特殊で高価な車輪を使わないで、マイコン制御など複雑なコントロールをしなくても全ての方向に走行できるシステムです。これを実現するためにいろいろ研究をされており、ステアリング回転軸を車輪上からずらすことによって左右の車輪の速度に差を付けて、四輪の走行方向が一斉に変化して車体の姿勢を保ったまま平行移動ができます。
 内閣総理大臣賞を受賞された作品は、山口県の小学校5年生が考案した「荷物らくらくん」で、台車で荷物を運ぶ時にしゃがんで持ち上げなくても荷物を台車にのせることができます。また、文部科学大臣賞の「ハイブリッドこくばん消しクリーナー」(小学5年生)、経済産業大臣賞の「桜島の降灰量測定器『降灰君』」(高校2年生)、特許庁長官賞の「仮止めテープカッター」(小学6年生)は、それぞれの賞に相応しいユニークな作品です。また、WIPO賞の「自転車スピード注意くん」(小学1年生)をはじめ、発明協会会長賞、日本弁理士会会長賞、NHK会長賞、毎日新聞社賞、毎日小学生新聞賞、科学技術館賞にも、たいへん素晴らしい作品が選ばれました。奨励賞21点もみな非常に優れた作品です。
 今回は、子どもたちが自ら作りたい物を決めていろいろと考えたり研究したりして開発した作品が多くありました。また、日常生活の中で課題を見つけて実用的な考案をした作品がありました。審査会では、児童生徒それぞれの作品について説明を受けた後に、審査委員が実際に作品に触れたり動作させたりして評価した上で、十分な時間をかけて楽しみながら審査をしました。今回の発明くふう展には全国で8,811点の応募がありましたが、毎年継続して参加してくれる子どもも多くおられます。このように、大勢の子どもたちが参加しているこの全国的な取組は、これからの日本の独創力を高めることに貢献しています。
審査委員長
審査委員長 清水 康敬

東京工業大学監事・名誉教授

本事業に関するお問合せ先

公益社団法人発明協会 青少年創造性グループ
TEL 03-3502-5434/E-mail 担当者へメールを送信する