【令和元年度東北地方発明表彰】
特許庁長官賞
発明のポイントをお教えください
この発明は、従来2時間以上を要する医療現場での免疫組織染色法において、電界撹拌技術により染色処理時間を1/10に短縮させ、術中迅速免疫組織病理診断を可能とするものです。これまで撹拌が困難とされたマイクロリットル(μL)オーダーの微量な液滴に対し、非接触で変動電界を与え撹拌します。生体試料の変性や試薬液滴の蒸散による偽陽性が無く、確度の高い診断ができます。産学官連携により装置を開発し、2014年に上市しました。
苦労した点はどこでしょうか
撹拌用の電界を発生させるために、高電圧アンプが必要です。従来品が高価なことから新規に開発しましたが、当初のサイズが大きくなりました。ユーザーニーズに基づく装置の小型化に対応するため、いろいろな工夫をしました。また、さまざまな医療施設でテストしたところ、利用者の習熟度により染色処理にばらつきが見られました。そのため、サンプル作製の品質の均一化や、一連の処理工程を統一するなど試行錯誤を繰り返しました。
受賞のご感想をお願いします
栄誉ある特許庁長官賞をいただき、感謝と共に身の引き締まる思いをしております。日本の三大疾病の一つであるがん患者数が増大している中、病理医数は全国に約2500名程度に止まり、病理医確保の地域格差や高齢化も問題となっています。この発明により、1度の手術で治療方針を決定できるため、医療費の削減等へも貢献でき嬉しく思います。改めまして、受賞に至るまで関わっていただきました方々へ感謝申し上げます。
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