従来の地震時における収納物落下防止対策として、棚板前面に金具を設置する方式、棚本体を免震構造とする方式等が考案されましたが、収納量や使い勝手、高価格、施工が面倒等の問題があり、これらの改善をポイントとしました。
　そこで私達は、「地震エネルギーを利用して落下防止する」、「シンプルな構造で構成部品を少なくする」、「収納量や使い勝手は現状に則る」ことを課題として、全く新しいコンセプトで開発を行いました。

　シンプルな構成で使い勝手と落下軽減を実現するために、地震動を利用して通常時と作動時の状態が変化する構造を検討しました。
　通常時は、震度５で想定される様々な揺れを設定し、震動が収納物に与えるエネルギーをスライド運動に変換する角度を導き出すことが苦慮した点でした。そのため、実験を繰り返し、さらに通常使用時の使い勝手の両立を図りました。
　作動時は、棚本体の重心方向に収納物が移動する角度を探り出し、地震時に安定作動するための工夫を加えました。

　弊社が掲げます、「安全」と「先進」で社会文化に貢献する。という企業理念の基、大地震が頻発している我が国において、少しでもお客様にお役立ちできる製品の開発ができ、さらに今回、中小企業庁長官賞という栄誉を賜りましたことは、関係者一同望外の喜びで、光栄なことと深く感謝申し上げます。
　この受賞を今後の励みとして、お客様目線の開発を一段と心掛け、さらなる社会貢献ができるよう、精進して参りたいと思います。