本発明は、製紙機械であるパルパー装置の中核部品であるローターベーンに関するものです。このパルパーとは、例えるならば、直径6ｍの超大型の縦型洗濯機で、ローターベーンは、その洗濯機の底で回転しているローターと同じ役割の物です。このパルパーは、大企業が50〜60年前から販売しており、未だに各製紙会社の主力として使われております。このローターベーンを、この度、賞をいただいたＳＥローターベーンに取り換えるだけで、消費電力が5〜25%（平均12%）削減出来ます。大型パルパーの駆動モーターは600〜750ｋｗですので、その効果は大きく、多数の製紙企業様に採用されております。

　初期モデルは想定通りの結果が出ず、新たに1つ作り直しをしました。ですが、ひょうたんから駒で、その失敗作を改良した物を、テスト機として貸し出す事にした所、実際にＳＥローターベーンの効果を目の当たりにしていただき、納得の上で新品を購入していただくというビジネスモデルが自然と出来上がりました。もし初号機が失敗していなければ、改良もあまり進まず、技術が埋没してしまったかも知れません。

　弊社は従業員20名足らずの中小企業です。大型のローターベーンを製造出来る企業は、弊社と、大企業2社の3社だけです。相見積もりをして購入先を決める場合、価格の安さではなく、性能の良し悪しで判断をしていただく場面において、初期の判断材料として、今回の受賞は大変頼もしい要素となります。また、受賞した事によって、私も含めて従業員の士気も上がっております。今回の受賞を糧に、今後も意欲を持って、製品開発に取り組んで参る所存です。