自動車のエンジンを制御するFI-ECU(Fuel Injection-Engine Control Unit)の基板に半田接続されるPCB(Printed Circuit Board)コネクタに求められる高品質・高性能化の実現に向け、従来はPCBコネクタ内にメス側コネクタかん合時の抵抗（内圧）の軽減の為にFI-ECU内部に貫通する空気孔を設定するが、本発明は、空気孔の先端部の開口部に空気孔を塞ぐ壁を設定する事でFI-ECU内部への異物侵入を阻止し、コネクタかん合時の抵抗（内圧）も軽減出来る構造です。

　限られたスペースの中で、顧客に満足頂ける付加価値を付帯する構造検討は勿論ですが、本発明の構造の実現に向けて、成形技術面・金型技術面でも安定的な量産性を確保する点に苦労しました。
　具体的には製品成形時の樹脂の流動性を確保する為、製品の最低肉厚を確保しながら、且つ成形時の樹脂圧に対し、金型コアピンの耐久性を確保出来る形状検討になります。発明の形状・構造検討よりもその発明を成立（製品化）させる事の重要性についても改めて認識することが出来ました。

　今回このような賞を頂く機会に恵まれ非常に光栄です。FI-ECUに求められる要求事項と対策の方向性を整合させながら顧客に満足いただける仕様に仕上げる過程で試行錯誤しましたが、顧客先と密に折衝・意思疎通することで乗り越えることができました。
　今後も当社固有技術の確立、戦略的特許の出願・権利化を進め、当社事業の発展に貢献していきたいです。